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嘘みたいな、全部ただのリアル 【アイスランド】

by 古性 のち

わたしはむかしから寒いところがとても苦手だ。

女性特有の”末端冷え症”だから、というのももちろんだけれど、寒いところはなんたって気持ちがぐっと寂しくなる。
周りに人がいても、しんしんと積もっていく寒さは、この世にひとりぼっちになってしまったような、そんなどうしようもなく切ない気持ちにさせる。

だから、「氷の島」なんて呼ばれる場所にいくのにはとても気が引けたし、
それでもわたしがここに足を運んだのは、フィンランドまで来たのにその先の国にいかないなんてありえない、 ”もったいない精神” であって、決してポジティブな感情ではなかった。

* * *

「高い・・・」
コンビニで手に取ったサンドイッチを前に絶望する。
表示されている価格を、何度も何度も確かめる。これ、正規の値段なんだろうか。
これもしかしてバーコード、貼り間違えてない?

6時間のフライトを終えて到着したアイスランドは、思っていたよりも寒くなく、ホッとする。
まだ17時なのに、外に目をやると幻想的な景色が広がっていた。

太陽と月のコラボレーションしたその不思議な世界には、その他は呆れるほどになにもない。
”アイスランドの空港は、世界の終わりみたいに最果てにある” と誰かが表現していたのを思い出した。

「アイスランドの冬は陽がみじかく、朝10時が日の出、日の入りが15時」
と、調べてみた結果にちょっとおどろく。

だからなのか。月もいちいち出たり入ったりが面倒くさくなって、ずっとそこから動かなくなってしまったのかもしれない。

しかしその陽の長さ以上にわたしを驚かせたのは、この国の「物価」だった。

「ハム&ベリーのサンドイッチ 1200クローナ」
の表示が、ピンとこない。

日本円に換算してみると、100クローナが約100円らしい。ということは、どうやらこのサンドイッチは1200円することになる。

水が399円
ドーナツが400円
サンドイッチが1200円。
タクシーが1メーター800円。
これが、アイスランドの物価だった。

変な汗が出てくる。日本の物価をさらりと超えてくる国があるなんて。

なんてとんでもない国なんだ、アイスランド。

寒いのを我慢してまでここにきたことに、早速すこしだけ後悔し始めたころ、

もう少しだけ陽が傾いて、夜のベールを纏い出した景色は、そんなこともどうでもよくなるくらいに、ただただ、美しかった。




古性 のち
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