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今すぐ目玉だけ交換して、あなたにぜんぶ全部みせたい【アイスランド】

by 古性 のち

アイスランドで過ごす毎日は、もうなんだか、言葉にならなかった。

朝ぐずぐずと、いつまでたっても上がってこない太陽が染め上げるピンクと水色の世界も

角度によってアーチがかかる優しい虹も

足元に出来上がった、壮大なスケートリンクも

生まれてはじめて触れた、このままわたしごと透けてしまうんじゃないかってくらい透明な氷河も

足元も壁も、そのすべてが氷でできた神秘的な洞窟も

朝も夜も、どちらなのかわからないくらいにずっとオレンジに光る地平線も。
そのすべてがなにもかも美しすぎて。

ボキャブラリーのすくないわたしはひたすら「やばい」とか「すごい」とか、そんな言葉をただただ、果てしなく繰り返すことしかできなくて。

もうこんなに綺麗な景色、一生で見られないんじゃないかってくらいに壮大で。

でもそんな景色を見ているのは、ひとりぼっちで。

となりに、一番この景色を見せたいあなたがいなかった。

* * *

なんだかずいぶん遠くに来てしまった気がする。
世界の果てにひとりぼっち、迷い込んでしまったような気がする。

せめて一瞬でも良いから、この目を交換して、この景色ごとまるまるあなたに見せられたらいいのに。

そんな子供みたいなことをなかば本気で願ってしまうくらいに、この国が作り出す幻想的な自然たちは
どこまでも、どこまでも美しくて、同時に、なんだか仕方ないほどに寂しかった。

何のかなしさだろう。
隣に君がいないことが悲しいんだろうか?

だとしたら、なんて勝手なやつなんだろう。

ちいさく、ため息をついた。



古性 のち
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