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気持ちを切り売りする事と引き換えに、心を失ってしまうくらいなら【日本・1ヶ月目】

夏の夜のお祭りのように「会おう、会おう」賑やかだったスマートフォンも静けさを取り戻し、ちいさな波のようだった日常はゆったりと静かに、おさまりつつある。 日本に帰国して、ひと月が経過した。 「やっぱり日本はホッとしますか?」という質問に首を傾げてしまうくらいに、180日間という期間は、28年間過ごした日本の感覚を忘れてしまうには、あまりにも短

本当のわたしは旅になんて出たくなかった【スペインから日本へ】

今これを、スペインからロシアに向かう飛行機の中で書いています。ロシアまで約7時間。そこからさらに10時間ほどのフライトで、数時間後にはあっという間にもう日本。何だか遠くまで来てしまったような、そんな途方もない気持ちでいたけれどGooglemapで自分の旅をたどってみれば、こんな小さなPCの画面にすら収まってしまう。そう思うと、世界は案外とっても近いも

「砂漠とラクダ」なんてベタベタな組み合わせ、もう夢か現実かよくわからない【モロッコ・サハラ砂漠】

一定のリズムを刻みながらサクサクと足元で音がする。太陽の日差しを左手で遮りながら、右手はしっかりと目の前のサドルを握った。ひんやりしたサドルにじっとりと、自分の汗を感じる。暑いからなのか、緊張しているからなのか、それともその両方なのか。 わたしはどこまでもオレンジ色の砂の山を見上げながら、少し不安定なラクダの背中の上で揺れていた。 英

いざ憧れの雑貨と猫の町へ【モロッコ・マラケシュ】

「 日本に戻る前に訪れる国はぜったいにモロッコにしよう」 そう決めたのは、日本へ20日後に帰国することが決まったその日だった。イタリアの水の都ヴェネチアでの年越しを終えたわたしは、次の国、モロッコへ向かうためこの5日間一緒に過ごした友人にさよならを告げる。ヴェネチアからモロッコのシャウエンまでは乗り継ぎを合わせて約16時間の長旅だ。更には安

さよなら。おだやかな水の都【イタリア・ヴェネチア】

「それじゃあ、良い旅を」彼と硬く握手すると、空港へ向かうバスは軽やかに走り出した。 日がおちかけたヴェネチアの街は、昨日と変わらずに美しくて なんだかこの街を訪れたのはたった5日前のことなのに、もう長いことここに暮しているような、そんなずうずうしい気持ちになる。 それくらいにこの街は、居心地がよかったからなのかもしれない。 本当に、あのゆ